宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 建物の売買の媒介に関し、受領しようとする預り金について保全措置を講ずる場合において、預り金の額が売買代金の額の100分の10以下であるときは、その措置の概要を説明する必要はない。
- 宅地の貸借の媒介を行う場合、当該宅地について借地借家法第22条に規定する定期借地権を設定しようとするときは、その旨を説明しなければならない。
- 建物の貸借の媒介を行う場合、消費生活用製品安全法に規定する特定保守製品の保守点検に関する事項を説明しなければならない。
- 建物の貸借の媒介を行う場合、契約の期間については説明する必要があるが、契約の更新については、宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面への記載事項であり、説明する必要はない。
コメント
重要事項の説明ですね。
重要事項は、毎年何問もでますし引っ掛けがたくさん出ます。ひっかけというか、法律にない話を混ぜてきますので、過去問をたくさんやって、知識の範囲を広げておくしか解答の確率を上げることができませんのでご注意ください。
肢 1
建物の売買の媒介に関し、受領しようとする預り金について保全措置を講ずる場合において、預り金の額が売買代金の額の100分の10以下であるときは、その措置の概要を説明する必要はない。
物件・・・建物
種別・・・売買
はい。保全処置をする場合の話ですね。
これは、知っておかないといけない知識としては、
支払金・預り金を受領しようとする場合には、「保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要」を説明しなければならない(宅地建物取引業法35条1項11号)。
ただし、支払金・預り金が50万円未満の場合には、そもそも「支払金・預り金」に該当しない(同法施行規則16条の3第1号)
こんなのがあるんですね。
保全措置がなんで重要事項かというと、もしも契約の前に「保全します」という説明していなければどうなるでしょうか?
そもそも保全措置・預かりというのですが、保全措置とは、手付金預けるけど、トンズラされてもいいように第3者に預けますという話です。そして、預かり金というのは、売主に渡すのは不安だから、仲介会社に置いておきますという話ですね。
「もしも、仲介会社がトンズラしたら」とかいろいろ「もしも」のケースが考えられます。そんな重要なことは、最初に言っとけ!という話です。
ちなみに、50万円未満ちゅう話は、被害がそんなに大きくないので預かり金にも入らんべ、という感じですね。
知っているか知っていないかで正解が分かれる問題ですね。本門では、「保全措置」をするので、重要事項の説明が必要になってきます。「100分の1の場合は」なんて怪しげなものに騙されないようにしてください!
ということで、
答え:「保全処置を講ずる場合説明をする必要はない」わけではないので「✖︎」ですね。
肢 2
宅地の貸借の媒介を行う場合、当該宅地について借地借家法第22条に規定する定期借地権を設定しようとするときは、その旨を説明しなければならない。
物件・・・宅地
種別・・・賃貸
ですね。
定期借地権の話なんですが、定期借地権ってご存知でしょうか?一定の期間が過ぎれば、建物壊して更地で返してねという契約ですね。この説明を抜かしたらどうなるでしょう・・・
おそろしいですね。「聞いていないよ!」となりますよね。重要事項は、「聞いてないよ!」防止のためですので、必要ですよね。
答え:「定期借地権は、説明しなければならない」ので「○」となります。
肢 3
建物の貸借の媒介を行う場合、消費生活用製品安全法に規定する特定保守製品の保守点検に関する事項を説明しなければならない。
またまた、怪しげは問題がでてきました。
物件・・・建物
種別・・・賃貸
その時、「消費生活用製品安全法に規定する特定保守製品の保守点検」は説明しなければならんか?
という問題です。
この保守点検というのが、きなくさい感じですよね。ん?付帯設備にはなんかあったな?という感じです。
では、この特定保守製品ってなんぞ?という疑問ですが、以前ガス瞬間湯沸し器で事故があったりしましたよね。この件をうけて、特定保守製品ってのができました。品目は、9品目
①屋内式の都市ガス用瞬間湯沸器
②屋内式の液化石油ガス用瞬間湯沸器
③屋内式の都市ガス用ふろがま
④屋内式の液化石油ガス用ふろがま
⑤石油給湯機 「ボイラー」や「ふろがま」と称して販売されているものでもあっても、給湯機能が何らかの形で備わっているもの であれば、屋内式、屋外式とも対象になります。
⑥石油ふろがま(屋内式、屋外式とも対象となります。)
⑦石油温風暖房機(密閉燃焼式)
⑧電気食器洗機(ビルトイン式) システムキッチンに組み込むことができるように設計されたものであって、熱源として電気を使用するものに限る。
⑨浴室用電気乾燥機
です。ま〜事故がおこりそうかななんてものが指定されています。で、製品安全法と宅建業者の関係性なんですが、
「説明の責務」
が発生しています。ここで重要なのが「義務」ではなく「協力してね」という話です。不動産取引の時とかに、「この商品特定保守製品になってまっせ」と説明を協力してちょ。という制限です。
ですので、まだ「重要事項の説明義務」にはなっていないんですね。ですが、「付帯設備一覧」には、書く欄ができています。まだ、未発達な法律ですね。「義務」になれば説明しなくちゃいけませんが、まだのようです。
ということで、
答え:「特定保守製品は説明しなければならない」わけではないので、「✖︎」となります。
肢 4
建物の貸借の媒介を行う場合、契約の期間については説明する必要があるが、契約の更新については、宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面への記載事項であり、説明する必要はない。
物件・・・建物
種別・・・賃貸
契約の更新は、重要事項になるの?という話です。
契約の更新って、地域によっては、別途「更新手数料」が必要になったりしますよね。そうなると「お金の話」なので、事前に説明しなはれ〜ということです。更新時期になって「更新にはお金がいるまっせ」なんて言われると大変ですので、重要事項に指定されています。
ちなみに大阪は、基本更新手数料は無料です。が。
ということで、
答え:「更新については説明する必要はない」わけではないので、「×」
ということで、
「×」「○」「×」「×」で、正しいものは「2」です。