平成27年過去問解説 問33 報酬

宅地建物取引業者A及びB(ともに消費税課税事業者)が受領した報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものの組合せはどれか。なお、この問において「消費税等相当額」とは、消費税額及び地方消費税額に相当する金額をいうものとする。

  • ア 土地付新築住宅(代金3,000万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aは売主から代理を、Bは買主から媒介を依頼され、Aは売主から207万3,600円を、Bは買主から103万6,800円を報酬として受領した。
  • イ Aは、店舗用建物について、貸主と借主双方から媒介を依頼され、借賃1か月分20万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金500万円(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもので、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、貸主と借主からそれぞれ22万5,000円を報酬として受領した。
  • ウ 居住用建物(借賃1か月分10万円)について、Aは貸主から媒介を依頼され、Bは借主から媒介を依頼され、Aは貸主から8万円、Bは借主から5万4,000円を報酬として受領した。なお、Aは、媒介の依頼を受けるに当たって、報酬が借賃の0.54か月分を超えることについて貸主から承諾を得ていた。
  1. ア、イ
  2. イ、ウ
  3. ア、ウ
  4. ア、イ、ウ

報酬の組み合わせ問題ですね。

登場人物を整理しましょう。

  • A・・・宅建業者(課税業者)
  • B・・・宅建業者(課税業者)

ですね。

肢 ア

土地付新築住宅(代金3,000万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aは売主から代理を、Bは買主から媒介を依頼され、Aは売主から207万3,600円を、Bは買主から103万6,800円を報酬として受領した。

  • 物件・・・土地付き新築住宅
  • 種別・・・売買
  • 金額・・・3000万円(消費税別)
  • A・・・代理
  • B・・・媒介

この「消費税別」なんて優しい問題なのでしょうか?
過去問の多くは、消費税込み金額で消費税計算から始めないといけないのに、おやさしいわけです。

で、報酬金額

  • A・・・207万3,600円
  • B・・・103万6,800円

これが、合っているかですね。
ですね。ここで、解き方なんですが、「計算面倒だな」という方もたくさんいらっしゃると思います。私も計算苦手でした。

しかし!

前提ルールを思い出しましょう。

  • 媒介・・・3%+6万円+消費税額
  • 代理・・・6%+12万円+消費税額

でしたね。で、媒介と代理が合わさっても、売主買主合わせて、上限6%+12万円+消費税額でしたね。

それは、ご存知でしたでしょうか?

とすると、今回は、媒介と代理が混ざっていますので「上限6%+12万円+消費税」ですね。

先に、そっちの計算をしてみます。

3,000万円✖︎6%=180万円
180万円+12万円=192万円
192万円✖︎1.08=???

あー1.08とか、計算機ないと計算できにゃい!と思ったあなた!

安心してください。

先ほどのもらった金額教えてください。

  • A・・・207万3,600円
  • B・・・103万6,800円

トータルでいくらですか?
207万円+103万円=310万円+なにがし???

おいおい、いくらなんでももらいすぎでしょう!

マックス192万円の1.08倍なのにね!

ということで、1.08の計算はせずに、次の問題にいきましょうか。

ということで、

答え:「両方あわせて310万円受領した」のは「違反する」ですね。

肢 イ

Aは、店舗用建物について、貸主と借主双方から媒介を依頼され、借賃1か月分20万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金500万円(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもので、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、貸主と借主からそれぞれ22万5,000円を報酬として受領した。

さて、権利金付きの問題です。
この場合は、権利金と1ヶ月の分と比べてどっちがお高いかなという計算が必要ですね。

また、計算かよ!
そうなんです。

ちなみに、本試験では、計算問題は、後回しにしましょうね。
1問あたり、2.5分しか持ち時間ないので、計算で足止めは嫌ですから。

さて、問題にもどりまして、

どっちがお得?ですが、

まず、大前提チェック

まずは、「貸主、借主両方合わせて1ヶ月ルール」
これ、守ってください。合わせて1ヶ月+消費税が上限ですよ。2ヶ月じゃないですよ!

そして、権利金の場合(住居用以外は権利金というのがある)は、売買計算と同じく3%+6万円+消費税が適用されますね。

となると・・・

貸主、借主両方合わせて1ヶ月なんですから、「20万円+消費税」がマックスです。

権利金で行った場合は、

500万円✖︎3%+6万円+消費税なので、

21万円+消費税!さらに、貸主、借主からもらえちゃう。

ということで、権利金の勝ち。

計算すると、21万円✖︎1.08=あ、やっぱり消費税計算しないといけないのか。

ここで、消費税の計算方法をご紹介。

21万円の1.1倍なら簡単なんですよね。

21万円+2.1万円で、23.1万円

で、1.08倍の場合

21万円に21×8÷100を足します。
21×8=168
168÷100=1.68となります。

21万円+1.68万円なので、22万6800円

となります。

「8かけて、100でわる」これで乗り切りましょう。

ということで、上限が22万6800円なので、

問題の22万5000円と超えていないのでセーフ

問題の借主、貸主からも権利金なのでもらえちゃうので、セーフ

ということで、

答え:「それぞれ22万5,000円を報酬」できるので「違反しない」

肢 ウ

居住用建物(借賃1か月分10万円)について、Aは貸主から媒介を依頼され、Bは借主から媒介を依頼され、Aは貸主から8万円、Bは借主から5万4,000円を報酬として受領した。なお、Aは、媒介の依頼を受けるに当たって、報酬が借賃の0.54か月分を超えることについて貸主から承諾を得ていた。

  • 物件・・・居住用建物
  • 種別・・・賃貸
  • A・・・オーナーから8万円
  • B・・・お客さんから5万4000円

ここで、「報酬が借賃の0.54か月分を超えることについて貸主から承諾を得ていた。」ってあるんですが、

居住用賃貸の場合は、半月分が上限でしたね。1ヶ月やないですよ。
でも、依頼者つまり、借主、貸主どっちでもいいんですが、「1ヶ月渡してもええがな」という心の広い方の場合は、1ヶ月もらっちゃってOK!なんです。(本問は、0.54超えてもという微妙な表現ですが(苦笑))

しかーし!

話には続きがありまして、

借主貸主の金額が合計で1ヶ月をこえちゃならん!という法律があるわけです。

ということは・・・

本問の場合、合計で1ヶ月10万円+消費税をこえちゃならんということです。

そうなると、10万円+1.08=10.8万円が双方合計のマックス

  • A・・・オーナーから8万円
  • B・・・お客さんから5万4000円

これ足したら、134,000円!もらいすぎですね〜。

ということで、

答え:「Aは貸主から8万円、Bは借主から5万4,000円を報酬として受領」は、「違反する」わけですね。

 

「違反する」「違反しない」「違反する」で、問題は違反するものの組み合わせなので、アとウで、

「3」が正解

 

はーつかれましたね。

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